『百年恋歌』(最好的時光 スリー・タイムズ)監督: 侯孝賢
出演:舒淇 張震
2005台湾
今月ご紹介するのは侯孝賢の最新作、珠玉の一篇、『最好的時光』(邦題『百年恋歌』)、10月21日よりシネスイッチ銀座で公開される作品です。
この映画は舒淇(スー・チー)、張震(チャン・チェン)という今の台湾では最も時めく存在(だと私は思う・・2人とももうアイドルではないけれど成熟度を増して素敵になった)2人を主人公に、時代を変えて撮った3本のオムニバス作品。
侯孝賢自身の青年時代の思い出をもとに作ったという1966年の兵役中の青年の、撞球場を渡り歩くスコア嬢への淡い恋を描く『恋愛夢』、1911年の遊郭を舞台に高級妓女と、妾を持つことに反対する思想ゆえに彼女への恋を実現できない若い理想派の詩人を描く『自由夢』、そし現代の台北を舞台に写真の仕事をする青年への思慕と、同居する同性愛の関係にある女性の執着との間で引き裂かれる女性を描いた『青春夢』から成っています。
前2本は暗い室内から正面にドアが切られて逆行で光が入るという舞台のような画面構成、その中を交錯する人々の動きも計算されつくされた映像で、映画的な美とはこういうものかと思わされます。しかも2人の関係に焦点をしぼり、きわめてシンプルな美しさでため息が出るよう。最後の1本『青春夢』はブルー系に抑えた色の美しさ、疾走するバイク、現代の台北下町の焦燥的な雰囲気があり、いかにも危うげな感じの舒淇が激しく青年を求めながら感情を抑えている感じがとても切ない。
どの映画も台詞は最小限に押さえ、表情や全体の雰囲気で表現しています。「ご飯は食べた?」とか「仕事は何時に終わるの」と聞く張震にほとんど単語でしか応えない舒淇が、最後に彼から延べられた手を握る『恋愛夢』のラストシーンとか、舒淇がパジャマ?スタイルにコートだけを羽織り、止まっている車の陰から覗くように彼のバイクを待つ『青春夢』のひとこまとか、忘れがたい場面がたくさんあります。特に、『自由夢』は昔風のサイレント・字幕入り(字幕は旧式の文語でややなじみにくいかも)。これは役者二人が昔風の台湾語をしゃべれなかったからということだそうで、監督の現実的対応とそれを生かす力に脱帽しますが、二人の目の演技もそれに応え、かえって雰囲気のある傑作となりました。『自由夢』は『海上花(フラワーズ・オブ・シャンハイ)』の世界をさらに洗練させたような作品ですが、張震の辮髪姿は梁朝偉の上を行く。ある人曰くトニー・レオンは南方系の顔立ちだから・・・なるほど、そういえばそうかも。『恋愛夢』は『恋々風塵』や『フンクイの少年』あたりの世界、『青春夢』はもちろん『憂鬱な楽園』や『ミレニアム・マンボ』の世界を受け継いで、言ってみればこの映画は
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