『ラブ・ソング』(甜蜜蜜)監督:ピーター・チャン
出演:マギー・チャン レオン・ライ
1996 香港
7月1日、1997年の香港返還から10年たちました。一国二制度の政治体制の下、香港の街は不況とは言われながらも夜景のきらめきは変わらず、ブランド製品やシルク製品などの洗練度も増し、2003年のサース危機も乗り越えて、相変わらず賑やかです。しかし、10年前にはほとんど聞くことがなかった普通話をしゃべる人はますます増え、大陸から来た人々の姿も目立ち、また広州などでビジネスをする香港人、香港人と大陸人の結婚なども確実に増えて、香港は中国の一都市であるという雰囲気はたまに行ってもあきらかに10年前とは違うことが感じられるようです。
映画の世界でも同じ、香港の家庭の中で普通話をしゃべる(つまり大陸からの移民と設定された)祖父母がいたり、大陸人が香港人の恋人として登場したり、また大陸のマフィアが香港の黒社会とやりあうとかそんな設定が当たり前という映画が当たり前に生まれる状況は、もちろん大陸への商業戦略の意図もあってのことでしょうが、あきらかに10年前とは変わってきています。
香港返還の前、10年ぐらいの香港では中国への復帰への不安からカナダやオーストラリアなどに移民する人が続出しました。このころは映画にも、移民をしようとバタバタと動き回る香港人が描かれたり(『金玉満堂』という面白いお正月映画があります)、夫や妻だけが先に移民してしまい残された配偶者どうしが恋におちる(『我愛太空人』=『あの愛をもう一度』「太空人」という語が流行語になった)などの映画が作られています。返還当時を描いた作品としては『花火降る夏』(陳果=フルーツ・チャン)などという映画もありました。また、返還後には女性監督メイベル・チャンが20年あまりの香港の学生生活から中年までと香港返還を重ね合わせた『玻璃の城』という作品を作っています。
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さて、今回ご紹介する『ラブソング』は返還前の1985年ごろからの10年間、出稼ぎ人として大陸から香港に渡ってきた男女が出会い、心を通わせながらもすれ違い、やがて10年後、テレサ・テンの死を報じるTVを偶然にもニューヨークの街角で見ながら再会するという物語で、テレサ・テンの「甜蜜蜜」に乗せて語られます。天津からやってきた素朴な若者を演じるのは香港四大天王の一人、レオン・ライ(黎明)、北京出身の彼は香港にきても普通話しかしゃべれないという設定です。いっぽう彼に香港生活のすべを教え、自らの成功を夢見る広州娘がマギー・チャンです。映画の中の彼女は大陸出身であることを隠し、バイタリティあふれる暮らしぶり。
大陸人が
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