第7章 小論 2623304. 石油をめぐる政治
■石油は,それ自体が重要であるだけでなく,リアリズムと複合的相互依存の双方の側面を含む問題である。「リアリズム」と「複合的相互依存」。この2つの理念型の前提に対し,現実の世界政治がどれだけ適合するかは,それを扱う問題領域によって異なる。
▼リアリズム〔現実主義〕には,3つの基本的前提がある。
①国家が唯一の重要な主体であること
②軍事力が優越的な手段であること
③安全保障が主要な目標であること
▼このすべてを逆にすると,異なる世界政治の姿を組み立てることができる。
①国家は唯一の重要な主体ではない
国境を越えて行動する脱国家的主体も重要な主体である
②軍事力は,唯一の重要な政策手段ではない
経済操作と国際的制度の利用が優越的な手段となる
③安全保障は主要な目標ではなくなる
福祉が主要な目標となる
▼このような反リアリスト的世界を「複合的相互依存」と呼ぶ。社会科学的に言えば,この「複合的相互依存」も「理念型」の一種である。
★「理念型」とは,現実の世界には存在しない仮想的な概念である。
然し,現実主義も現実の世界に完全に対応しているわけではない。
▼「複合的相互依存」という概念は,世界政治の異なるタイプを想像することを可能にしてくれる思考実験とも言える。
▼リアリズムも複合的相互依存も,単純化されたモデル,或いは理念型と言える。
現実の世界は,この2つの間のどこかに存在するわけである。とすると,
★このリアリズムと複合的相互依存を結ぶ線上のどこかに,
ある国とある国との関係は,位置するだろう。
■国際石油レジームは,この何十年間で劇的に変化した。1960年には石油レジームは,主要消費国の政府と密接な関係を持った民間石油企業による寡占体であった。当時,石油は1バレル当たり2ドルで売買され,時にセブン・シスターズとも呼ばれる7大脱国家的石油企業が生産量を決定
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