第7章 小論 2323301. 相互依存の時代に向かう
1. グローバリゼーションと相互依存
21世紀が進行するにつれて,世界政治上,経済問題がより中心的になってきた。通信・輸送コストが低下し,距離が問題でなくなり,地球を覆う経済的相互依存のネットワークが拡大してきた。政府や国家の役割についての態度の変化と同様に,新たな情報・輸送技術の結果,市場の役割もまた増大してきた。
グローバリゼーションは,「グローバルな市場で繁栄するための技術と流動性を持つ集団」と「労働者,年金生活者や環境主義者」などそうでない集団との間に,「深い亀裂を生みつつあり,国家はその間で身動きできなくなっている」。
平和時には,安全保障は所与とみなしうる。しかし,すべての市場は,政治的枠組みの中で機能している。グローバルな市場は,国際的なパワーの構造に依存している。安全保障は,通常,所与のものと思いがちだが,なくなりはじめるとそれ以外は考えられなくなる。
同様に,軍事力の行使を避けるという点で経済制裁は受けのよい手段ではあるが,その効果はさまざまである。研究によると,経済制裁が試みられた場合に,所期の効果があがったのは半数以下であった。
ふりかえれば,諸国が貿易,投資,移民で比較的自由主義的な政策をとった19世紀に,グローバリゼーションと経済的相互依存はすでに急速に展開していた。だが,こうした長期的な潮流を妨げたのは, 20世紀前半に起こった2つの世界大戦と経済的大恐慌だった。
2. グローバリゼーションの諸元
グローバリゼーションは,世界的な相互依存のネットワークとして定義されるが,普遍性を意味しない。たとえば, 21世紀の初めに,インターネットの利用者は,アメリカでは人口の半数にのぼっていたのに対し,南アジアでは人口の0.01%のみであった。今日でも,世界の何億もの人々が,世界市場のグローバルな流れと殆どかかわりのない辺境の村で,農民として生活している。
▼現実の問題として,グローバリゼーションは多くの局面で貧富の差の拡大をともなう。それは同質化あるいは平等のいずれをも意味しない。
豊かな国の間でさえも,グローバリゼーションは見た目ほど進んではいない。本当にグローバル化された世界市場とは,物,人,資本の自由な流れと,ほぼ共通の利子率を意味しよう。
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