三人の殿様に

長男が家に戻ってきてくれたのは喜ばしいことであったが、三人だったのが四人に、家業も二つという状態になると、私の賦役も大幅に増えて、なかなか忙しい日々を送ることになった。

久しぶりにKさんと出会った。Kさんは我が家から二番目に近い隣人である。一人暮らしということもあり、到来物のおいしいものなどがあるときはKさんの所へ持って行き、20分ほどはおしゃべりを楽しんだものだった。けれどもこの頃ではそんな時間もなくなっていた。

私はKさんに言った。「この頃ぜんぜん余裕ないんですー」するとKさんは言った。「そうでしょうよ。なぎささんは三人のお殿様に仕えているんですもの、忙しいはずですよ」

え?三人の殿様に? そう言われてみると、、、。そんな気がしてきたぞ。三人が暴君だというわけではないが、有言無言の要求、強制によって、したくもないことをしていることは多々あるのだ。

たとえば、「今日はトーストとコーヒーだけでいいんじゃない?」と私自身は思う日でも、旅館で出されるようなヘビーな朝ごはんを並べざるをえない、ということもあるし、磨きたくもない鍋の底をみがく、ということもしょっちゅうなのだ。

そうなんだー、今まで気づかなかったけれど、わたしって三人のお殿様にお仕えしてたのね、かわいそうななぎさちゃん!

それで私は夫に言った。「今日、Kさんに会ったんだけど、なぎささん、三人のお殿様に仕えて大変でしょう?って言われたのよー。それからね、(これより先はなぎさの創作)このあたりで、なぎささんほど朝から晩までよく働く人はいないと思う、って言ってた。ホントに世間さまってなにもかもよくご存知なのねー」

それを聞いた夫は言った。“自分は一度として、お殿様のように仕えて貰った覚えはない。それどころか、じゃじゃ馬の女房のご機嫌をとるために、朝から晩まで、馬車馬のごとくに働いておる”と、まぁこんなふうに言ったのですね。

それを聞いて私はへーっと驚いた。現象は一つなのにどうしてかくも主観に落差があるのだろう。私は滅私

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あゝ夫婦
2009/04/29




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