発刊の辞

ひとは誰しもタイムマシンを持っている。過去へむかう装置を記憶といい、未来にむかうものを夢という。
ただし、未来にいくにしても、過去に飛ぶにしても、よりよき航海士は必要だ。時間を旅する航時機の設計にしろ、乗り心地だって問題だ。航時舎は、タイムマシンの製造と運行に、天賦の才を持つ者のみをスタッフとした。時を超える、時を忘れる、時を遡る、時を止める。わが社のタイムマシンには、精度のよいスイッチも完備している。temporizzatore(伊、ストップウォッチ)は、それぞれの時を一瞬停止させ、これからの私たちのワープ航法の指標をさだめてくれるはず。さあ、みんなでわがタイムマシンを始動させよう。
エネルギーはタキオン粒子と、少量の希望。未来にいくにしろ、過去に飛ぶにしろ、それはまちがいなく私たちの前方に現れる。パラドックスも、多元世界もあるがまま。タイムマシンに乗り込んだ以上は、それもまた運命だろう。
さあ、船でだ。時はよし。うまき酒の積み込みも終わったようだ。諸君、はじめての航海だ。時間酔いには気をつけたまえ!

タイムマシン 《temporizzatore》 提督
天沼 春樹

2006/03/23




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