福光屋 加賀鳶 純米吟醸

猪口に鼻を近づけ揺すってみると、涼やかで幽かな吟醸香が立ちのぼる。口に含んだ瞬間、鼻腔に優しい吟醸香が押し寄せ、同時に甘さと酸っぱさが混然一体となった味わい(割合は甘さ9:酸っぱさ1)が上あごのあたりをしっとりと濡らし、すっと胃の腑へ落ちてゆく。そのあと一拍もおかないタイミングで舌先をぴりりと辛さが襲い、味の記憶は根こそぎさらわれてしまうのだった。

味わいから受ける印象は淡麗辛口なのだが、それでいて外見がうっすらと黄金色であるところが心憎い。この酒でいう「淡麗」とは、炭素濾過を用いた見せかけのものではない、ということだ。

いやあしかし、導入部からエンディングまで一気に読ませる、上質なミステリー小説のような酒だ。それも長編ではなく短編小説なので「あと一編読んで、寝よう」「…いや、もう一遍読んだら…」的な深みにハマらないよう注意する必要はあるかもしれない。

福光屋 加賀鳶 純米吟醸
都道府県:石川県
原料米:山田錦(兵庫県多可郡中区産)、金紋錦(長野県下高井郡木島平産)
精米歩合:55%
日本酒度:+4.0 酸度:1.4
アルコール度数:16.0
酵母:自社酵母

日本酒
2009/03/20




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