『満月のレシピ』1

『満月のレシピ』2008年3月13日~

 序章

 ちらほらと目触りな前髪を、ムースでよける。黄色いピンをさす。そして雨靴を履いて。

 今日は満月のお茶会です。

紅茶缶を敷き詰めた段ボールから、一つ。
グレーの鞄に、サンドウィッチとケーキを詰める。

 「ハルユキさん、元気かなー。」
マンションの五階、一昨日飛び降り自殺があったばかりで、青いビニールシートが目に痛い。
私は、マンションの四階の中央に住んでいる。建物の目隠しのクリーム色のビニールカーテンを、少し開けると、下に白い人達がわらわらと集っている。時々見える白い人達は、大体甘い匂いをさせていて、初めてマンションに越してきた時に、声をかけてくれお茶会に誘われたのだ。各々好きなケーキを大量に焼いてくれ、飲み物も多種に渡る。一番はじっこにいたほっそりとした男性が、私の視線を感じて上を見上げた。
こんばんわーとおじきをして、「何時からですかー。」と聞いてみる。
男性は、大きいプラカードを持ち上げて、指を指した。

 <満月お茶会 本日の予定 チョコレートケーキ カプチーノを中心に
  
     時刻 午後4時から  集合場所 森口川中流へ>

「有難うございます。」

私は、部屋に鍵をすると隣の部屋をノックした。
「山本です。お茶会始まりますよ。」
ガチャ。
黒いメガネをかけた男性が、子供と一緒に出てきた。
「こんばんわー。今日は何処ですか。」
「こんばんわ。森口川中流で。・・・奈青、いますか。」
「こんばんわー。」
「奈青・・はもう行ったようです。」
「じゃ、私たちも行きましょう。」

2へつづく

満月物語ー『満月のレシピ』
2008/03/13




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