円盤からアジビラ

 きみがいつもより正気なのは黒いカプセルのせいじゃなく、きみが正気に見えるくらいぼくの頭にアジビラが降るからだ。
  つくりかたを知らないぼくらが黒いカプセルを買うために、あんなイヤなこと、そんなツライことをしてまでこの世で金を稼ぐよ。きみがスナイパーに雇われて ぼくの心臓に狙いをつけても、札束がきみのポケットにねじこまれるのを見届けるまでぼくは身じろぎもせず待つだろう。それどころかシャツの胸にあわててサ インペンでへたな標的を書きなぐるだろう。
 黒いカプセルをまぶたに載せると世界は、ぼくら以外のすべての携帯電話が話中になる。すべてのラブホテルの表示が満室になる。すべての袋とじページが乱丁になる。
 すべての預金口座に一億円が振り込まれるだろう。ぼくら以外のね。

小説(超短篇)
2007/12/08




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