栄光の世界

 あいつの醜さにはだれもが一目置いている。人類に可能な醜さの限界に挑戦する勇敢なあいつに、誰もが心から拍手を惜しまない。私も可能なかぎりの援助をたった今申し出たばかりだ。
「大 した額ではないが、ボーナスは全額君に寄付することにした。どうかその最悪の醜さに拍車をかけるために使ってほしい。もちろん今後はあらゆる積み立てや月 賦、保険料の支払いを停止して君への寄付に回す。借金だって厭わないし、街頭で募金活動も展開するつもりだ。きっと趣旨に賛同する多くの市民が募金箱に殺 到するだろう」
 あまりに醜いあいつを直視することができず、私は目をつぶったままそう断言した。
 醜さの世界記録を更新中。オリンピックに「不細工」という競技がないことが世界一惜しまれる男。あいつの醜さは一種の超能力だ。あの未知のエネルギーを何とか平和利用できないだろうか?

小説(超短篇)
2007/12/07




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