心臓団の三人

ぼくらはたった三人の団体だった。ぼくらは「心臓団」を名乗った。
団旗には真っ赤な心臓がひとつ描かれた。モデルになったのはK子の心臓だ。
「かわいく書いてよね。冬眠中のカエルみたいに」
注文をつけながらK子はシャツの裾をまくり上げる。

血だまりの中からブラスバンドの演奏が低く訪れて、そして遠ざかった。

静まりかえった世界にK子の心臓がひるがえる。
ぼくらは彼女を悼む歌を歌う。そして涙を拭う。ぼくらは真新しい団旗を掲げる。
旗は夕陽を浴びていっそう赤く輝いた。K子の色に。

ぼくらはたった二人の団体になったけれど、彼女の魂はぼくらと共にある。
世界の終りにスイッチを入れるあの懐かしいボタン。
あの世から二人を嫉妬し続けるうらみがましい視線。
すべてK子の魂のかたちだ。
あるいは冬眠中のカエル。彼女自身そう望んでいたように。

心臓団は永久に欠けた三角形なのだから。

小説(超短篇)
2007/12/07




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