昭和歌謡大全集/村上龍

こうやってまた仲間は増えていくものだ、代わりなんていくらでもいる

この作品の続編とも言える『半島を出よ』読了からかなりの月日が流れました。直後の読みたいときを逃し、それから何となくタイミングを逃し続け、ようやく、ようやく昨日読むことができました。これでイシハラ、ノブエの鮮烈な記憶は自分の内にも宿ったわけです。共有されたこの記憶のおかげで半島を出よの深みがよりいっそう増しました。

ただのおばさんグループ『ミドリ会』と『少数派』のイシハラたち。ミドリ会という、全員がミドリという名前のおばさんたちは初見、没個性的な全体の象徴、多数派なんだと思っていました。が、どうやらその初見は見当違いでした。この物語は重なり合ってしまったニッチをめぐる少数派対少数派の生存競争です。(という個人の解釈です。)

そもそも、ダスキンの柄によく研磨された包丁をくくりつけちゃうおばさんが多数派なわけないですし。それが多数派ならそれはそれでステキな世界だと思いますが、あまり望ましい世界の姿では正直ないです。(苦笑)

過激さが加速する報復劇。

『ありえない』でくくられた世界の外側で展開されるありえない理由と、ありえない復讐戦。

両陣営の抗争がまさかのスケールへ展開。

読めば楽しんで書いたと言う村上龍さんのコメントの意味がよく分かります。

強烈な皮肉を含んだエンタテイメント小説。

ちなみに個人的に好きな登場人物は金物店の店主。

この人の色々すっ飛ばして話す感じが暗黒少年の心をくすぐる仕様。

この作品を読んだ日の夜、何気に録画映像チェックしていたら『骨まで愛して』が流れた。ステージは心霊スポット、歌ってたのはライセンス。偶然は時に神秘を語る。

書籍・雑誌
2009/07/09




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