「HAL YAMASHITA」 山下春幸シェフの世界

食・食文化の勉強を続けていて、原点に返ろうと旅をして来た。立ち寄った京都で、日本の伝統食文化の粋を椀物で知る。塩、一粒足されたら壊れてしまうのではないかとさえ思えるギリギリの細い線に描かれた透明の歴史図・・・。そんな究極の味に出会えたことこそが、旅の醍醐味。出来立てでしか味わえない、京上生菓子の最高峰との対峙には、伝統と言う重みに対しての尊敬の念を深めた。邪念無く只食べる事に無心で向かえた至福の時間であった。

縁あって人は出会うものだと思うが、その縁の深さを意識せざるを得ないかのように連続して、六本木ミッドタウン「HAL YAMASHITA東京」の山下春幸シェフとの対談や取材の機会が重なった。その中で、1対1で厨房とカウンターテーブルを挟んで食事をするという光栄を授かった。何度となく食べて来た山下シェフの料理の中にある「何か」を見つけたくて、席に座る。

ハルさんの料理は、とても「ピュア」であると思う。しかし、ピュアなものを作ろうとして作っている訳ではない。選ぶ食材、調理方法、組み立て方、料理人の心、全てがピュアである結果として「ピュア」に仕上がるのだ。最初から全てのプロセスがクリアでないと、透明な水に墨汁が一滴でも落ちれば濁ってしまうのと同じに誤魔化しは利かない。

食べ手から考える料理には、体が欲して食べたくなるものと、興味や勉強のために構造を理解したいなど好奇心から向かうものがある。こうしたものをフランスでは「理解を探す」と、いうそうだが、世界でもNO.1とも評されるスペインの三ツ星レストラン「エル・ブジ」やフランスの「ピエール・ガニエール」の考え尽くされて高度なテクニックを駆使して作られる料理では、見た瞬間に反射的に面白く感じられることはあるが、すぐに喜びや満足感には結びつかない。そこに辿り着くまでに、どうしても時間的なズレが生じる。理解を探さざるを得ないというのは現代美術を鑑賞するにも似ている。

ハルさんの料理は、もっと素直に、もっと直截に、人の心に入っていけるものでありたい。そう感じる。人の心にストレートに通じるクリアなもので

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食文化
2008/10/17




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