花火

ヒュルヒュルヒュル、ドドーン、パーン。「ぅわー。」と歓声が上がる。さらにすばらしいときは大拍手。そして光は消えて煙と余韻が残る。
2年前の夏、秋田県大曲の花火大会に行った。花火大会のときには、この人口4万の町に70万以上の人が訪れる。一年にたった一度のその日のために、平屋建てだった大曲の駅は近代的な駅に建て替えられた。明治時代から続いているというこの花火大会は有名で、全国から人が集まるそうだ。この花火会場から歩いて5分の場所に親戚の家がある。
子供のころから毎年夏休みには遊びに行っていたのに、この有名な花火大会を一度も見たことがなかった。あまり興味がないと思っていたのに急に行きたくなり、叔父と叔母に連れて行ってもらう。「この大会の最後が感動的だから、最後まで見ましょう。」と普段「感動」などという言葉は口にしない叔母が言った。
大曲の花火大会は、コンクール形式になっていて、十数組の花火屋さんが、それぞれのテーマに沿った創作花火を打ち上げる。一組ごとに、打ち上げる花火のテーマ、花火屋さんの屋号がアナウンスされてから数分間のショーが始まる。ストーリー性を持つもの、凝っているもの、花火職人さんの技を感じるもの、斬新的なものなど、それぞれ個性的だ。この大会では、その花火を作った職人さんが直接自分の花火に点火するというのも、特色になっているらしい。いくつもの作品を見ているうちに、だんだんと作り手の気持ちが観衆に伝わってくる。
「それでは、○○花火屋の作品です。」とアナウンスが流れたあと、会場は静まりかえる。点火した花火がどうか見事に開きますように、と祈るような気持ちになる。そして次々と打ち上げられる花火。ぱーんと大きく宙に花開けば大喝采。たまに、これはちょっと失敗かな、と思うと会場からはため息が漏れる。花火を打ち上げる人と、見る人たちとの気持ちが一つになっていく。
そしてすべての花火が打ち上げられた後、優秀な作品には賞が授与される。そして、感動的なのは、そのあとだった。川の対岸に花火師さんたちが全員集合する。たぶん、100人ぐらい。その人たちがみんな並んで、対岸のこちらにむかって手を振る。大歓声が起きる。私たちも手を振る。そして、一緒に歌うのだ。みんな大声で歌う。花火大会が成功したのは、花火師さんとそして観衆の両方がいたからこそ。川の向こうとこちら側で、お互いにありがとうの気持ちをおくり合う。普段はあまり大きな声なんて出さない私も、大きな声を出さずにはいられなかった。
花火大会は「ありがとう!」「ありがとう!」で幕を閉じた。

Rie

2008/06/20




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