母べえ~由緒正しき日本映画この映画、出品されるベルリン映画祭のコンペ部門でひょっとしたらひょっとして金熊賞も夢じゃないかもしれない。
作品の品格、顔つき、そして居ずまい・・・どこをとっても美しく、まさに由緒正しい日本映画、端正なものだ。
日本人の私からみると、優等生過ぎ、という大きな欠点があるんですけどね。
好かれる優等生ということにしておきましょうか。
うますぎて、外側眺めて感嘆してるばかりで今ひとつ中に入れない、というのは正直あるものの。
海外の審査員がこれを観たら、きっとかなりな感動と興奮を覚えることと思われる。
あの時代、軍靴の足音が世界のあちこちで響く中、日本でひとつの家族の物語が綴られる。
思想犯として特高にとらえられた大学教授である父べえを、その思想もすべて受け止め信頼し、帰りを待ち続ける妻・母べえ。
その母べえが娘たちを健気に守り育ててゆく。
女所帯となった一家をなにかと気にかける近所の人々。
父べえの教え子の心優しい青年と、父べえの才色兼備な妹。
俗物で品はないが本音が魅力の母べえの叔父。
隣組の班長で炭屋のおっちゃんも、息子を戦争にとられた近所の医者も、ほっこりとしている。
でも時代はうねり、国は人々は鬼畜米英、滅私奉公へと突き進んでゆく。
映画はその時代の日本人、町の様子、世界情勢、戦況・・・等々、まるで風俗画のごとく面白く映し出している。
そこに山田洋次監督の思想が流し込まれているのだろうけど、声高に反戦を叫ぶでなく、あくまでも一つの家族の物語であり続けようとする。
その引き算のうまさ、謙虚な画づくりが映画全体をいっそう居ずまい正しき日本映画にしている。
楔のようにひっかかるものを求めたら優等生過ぎて物足りないとは言ったけど、
語り口と役者たちの誠実でこれまた適材適所な芝居の妙と、山田監督の匠の技で一瞬たりとも飽きさせることはないのよね。
これでベルリンで評判良くないわけがないと断言しちゃおう。
役者の中では娘役二人が特に素晴らしい。
お姉ちゃん役のほうは思春期の繊細な感受性を見事に演じきっていて、 ん十年前に思春期だった私もものすごく共感できたわ。
胸が膨らみかけてきたことをオッサンが「乳もでかくなって」だか「乳も立派になって」だか正確な言葉は忘れたけど、そんな言い方をする。オッサンのほうは褒めたつもりだからますますたちが悪い。
そのときのお姉ちゃんのあの傷つきと怒りの表現!その場面に限らず
(1/2) 次»
コメント(1)|コメントを書く
カテゴリー一覧
最近のコメント
このブログを友達に教える