君は「ペコペコ」を知っているか?私が子どものころ、祖父母の家に行くのに環七通りをよく通った。
足立区の鹿浜橋の東側、内回りを向かって左にカーブするその左側に、西部劇に出てきそうな趣の飲食店があった。
その名は「ステーキハウス ペコペコ」。
幌馬車のホイールをかたどったような看板にネオンサインが目を引いた。
昼もさることながら、夜は特に目立つ。
建物は、当時から年季が入ったようなつくりが多かった。
それに、特徴的なあのフォント(字体)が忘れられなかった。
子供心に行ってみたいとずっと思っていたが、私の両親の世代としてはステーキ屋はそれだけで敷居が高かったのか、ついに連れて行ってもらうことはなかった。
一人暮らしを始め、引っ越してきてからペコペコが鹿浜以外に浦和にもあることを知ったが、一人で入れるような佇まいでもなく。
ペコペコの前を通るたびに、ママさんに「ペコペコに行きたいなあ」とつぶやいていた。
ステーキ屋さんは、やはり日常的に行くようなお店ではない。
私の人生でも数えるほどだ。
ところが先日微々たる額ながらボーナスが出たので、ママさんは「パパさんいつもありがとうということでペコペコに食べに行こう」と言ってくれた。
実は子どもたちから風邪を伝染されたようで、この週末はあまり具合がよくなかった。
日曜日もしんどくて、午後に寝かせてもらっていた。
それでも家で寝てばかりいてもしょうがない、ステーキでも食べて元気になろうと思ったのだ。
しかし、一つだけひっかかることが。
我が家の姫が、肉類をなかなか食べられないのだ。
魚は全く問題なく、鶏肉はそれなりに食べられるが、牛肉や豚肉の普通の焼肉がダメ。
アレルギーが出るということはないから単なる食わず嫌いなのだろうが、ステーキ屋さんのメニューは肉類ばかりだろう。
また姫はタマネギが嫌いなので(私に言わせればあんなにおいしいのに…もったいない)、本来お子様が大好きなはずのハンバーグも食べられない。
それなのに連れて行っても大丈夫か!?
そこで姫に「大人になってお肉が食べられないと困ることがいっぱいあるよ、全部とは言わないからハンバーグを少しでも食べられる?」と聞いたら「がんばる」との返事。
では、ということで、さいたま市南区の国道17号沿いにある「ペコペコ」に向けて出発。
30年来の念願が叶うことになった。
ああ、ついにこのネオンサインの下に立つことができた。
まことに感無量である。
最初の「ペコ」の字のネオンが消えてしまっているが、そんなことは気にしな
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