ブロ本はじまりはじまり~♪『隣人A』
丁度1年程前、女性の多くがそうであるようにジューンブライド
と言う物に憧れていた洋子は、昨年6月結婚適齢期と一般に
呼ばれる25歳で尾鷲家に嫁ぎ、ここ調布に移り住んだ。
嫁ぐとは言っても、夫、高雄の実家は山梨なので、高雄と1年
程同棲していた洋子としては苗字を変え、住む場所が移った
程度の事である。
夫の高雄は小さな医療器具メーカーの役員をしていて、2人
の住んでるこの家は家賃の8割を会社が負担してくれるので、
洋子は同世代の結婚している友人よりは大分裕福な生活が
送れていた。
平凡な一般の家庭に育った洋子としては、収入の安定も、実
家の荻窪が近い事も、家賃のわりに大きなこの家も、そして、
役員である夫は時間に融通が利くので連れ出してくれる毎週
のデートにも満足していた。
満足はしていたが、趣味と言う趣味も元々無く、最近暇な時間
を持て余す様にもなっていた。
6月29日
『ピーッピーッピーッ!バックします』
洋子が朝食を食卓に並べていると、高雄が起きてきた。
「何だよ今日は朝からやけにうるさいな」
「あら?言ってなかったっけ?大家さんに言われたんだけど、今
日お隣さんが引っ越してくるんだって」
高雄はトーストをかじりながら
「でもこんな朝早くからか?普通もうちょっと時間考えるだろ」
不機嫌そうな顔をする。
「まあまあ、高雄だってどうせこの時間に起きなきゃいけないん
だし、起こしてもらえて良かったじゃない」
洋子がなだめるが、まだ高雄は不服そうである。
『おい!しっかり押さえろよ!』
外から声がすると高雄は立ち上がり、イライラした様子でリビン
グの窓から隣を覗き込んだ。
「おい!おいおい!洋子!何だあれ?」
高雄が洋子に手招きする。
洋子も急いで窓から隣を覗いてみると、引越屋の作業員が大
きな仏像の様なものを2階に上げている。
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