遺伝病でも予防や治療 「常に知的探求を」

六十年間、病気と遺伝子の関係を研究してきた米ジョンズホプキンズ大のビクター・マキューズィック教授(86)が日本国際賞を受賞、このほどその授賞式に出席するため来日した。同教授に、遺伝医学がもたらす夢と課題を聞いた。 (引野肇)

 -一卵性双生児の兄、ビンセントさんと一緒に来日しました。

 兄は法律の道を選び、私は医学を選んだ。これは遺伝子の問題ではなくて、環境の影響だ。十五歳の時に上腕やひじに腫瘍(しゅよう)ができる感染症で八カ月入院した。さまざまな医者に出合い、医学を目指すことになった。一方、兄は入院しなかった。

 -二人ともたいへん元気なのは、よい遺伝子を持っているから?

 私には高脂血症になったり、糖尿病になったりする遺伝子はない。それ以外にも、よい影響を与える遺伝子があるようだ。

 -教授の専門にマルファン症候群がある。

 体内の結合組織の異常で大動脈や網膜、骨に奇形がおこる病気。一九九一年、その病気を引き起こしている遺伝子の変異が見つかった。その後、高血圧の治療薬だったロサルタンが、予防と治療に有効であることが分かった。

 -世界で遺伝子診断や出生前診断が始まった。

 ハンチントン病は三十五歳ごろ発症する病気だが、治療薬がなく、事前に分かっても予防できない。でも、マルファン症候群の例もあり、あきらめてはいけない。最近、私の親せきの若い夫婦が出生前診断で子どもがダウン症と分かったが、産んで育てることにした。

 -知らなくていいことも分かる時代になった。

 科学はいつも、有益なものと同時に有害なものも、もたらす。でも知識に勝るものはない。私たちは常に、知的探求を進めなくてはならないと思っている。

 略歴 米タフツ大卒業後、ジョンズホプキンズ大でインターンから助手、教授となり、現在に至る。同大に遺伝医学部門を創設、家族性の病気に関する研究を続け、報告された論文は七百六十編。自著「ヒトのメ

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ダウン症
2008/05/03




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