「ネイションという神話」

パトリック・J・ギアリ著

「ネイションという神話」(白水社)

                                

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ヨーロッパは、アジア大陸の西の端の半島で、

いろいろな民族がやって来ては、定着することを繰り返して、歴史を積み重ねてきていますので、

ヨーロッパ史を考える時、その基礎視座として、「多様性」と「多重性」が、大切なポイントだろうと常々考えてきました。

            

ギアリーは、

この多様性と多重性を生み出した ローマ末期から民族移動期のゴート、フランク、ランゴバルド等々の各民族が、どのようにして先住のローマ人と融合したのか、

逆に、ローマ人がいかにしていなくなったのか、を 見事な論理で語ってくれているのです。

                 

本著を読んで、

いままで事実の断片として知っていたことが、歴史の大きな流れの中で、このように位置づけられるのだな、と教えられたことが、多々ありました。

            

その意味で、本著は、

「ヨーロッパの骨格がどのようにして作られてきたのか」や、

「フランク、ゴート、ランゴバルド等々の歴史の構造」を知りたい方にとっての必読の書であろうと思います。

           

また、序章で、

ナショナリズム、自民族中心主義、人種差別主義が、いかに歴史を歪曲するのかを、記述した上で、

第1章で、

19世紀のドイツ文献学が、いかに、ナショナリズムに利用され、

13世紀のドイツ騎士団の東方拡大 や、20世紀のナチスの東部への拡張が、「征服」ではなく、単なる「帰還」であると正当化する論理がいかにして作られてきたか、を述べて、

学問が、政略によって いかに利用されるようになるのか、という 学問のあり方についての大きな問題提起をしている点も、本著の特筆すべき点だと思います。

             

ちょっと難しいことをいいましたが、

わかりやすい文章の翻訳で、

この時期の歴史の概略を知りたい方にとっても、スイスイと読める本だと思いますので、入門書としても最適の本の一つだと思います。

                 

  

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2008/11/02




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