ぶらり途中下車に驚かされたのでござる。どうでもええ話じゃがのう。先週のことじゃった。若いバンドをやっとる男が、西荻窪で降りて、パン生地に歌を聞かせているパン屋へ行ったときのことじゃ。パン屋の店主とその男は、共にパン生地に歌を聞かせて、どちらが美味いパンになるかを試した。結果は、店主は、何も聞かせていないパンを、男は、店主が歌を聞かせたパンを、最も美味いとした。何だ、結局、何も聞かせていないパンでも、聞かせたパンでも味の変わり具合はわからないのか、いい加減だと見られるような内容じゃった。
じゃが、ここでよく考えると、どうやら、ここにやらせはなかったようじゃ。そのパンは、生地の材料はすべて、最高のものを使っているとかで、食パンサイズにすると、数千円するという高価なもの。美味しい物を追求していく段階で、美味しくなるならば、何でも挑戦するという、その店主の心意気を見た思いがした。プロとはそういうもんじゃ。目的を達成するためには、あらゆることを試みてみる。そして、勝つか負けるかは、実は、頂点にいるような者同士の戦いである場合、誠に些細な、小さなファクターでしかない。精神的なものもふくめてじゃ。材料、時間、器具、あらゆるものの最上級クラスを使用し、さらに高みを目指した結果が、歌を聞かせるという試みじゃったろう。確かに、酒も含めた醗酵には、歌や音楽が、酵母菌を活発化させるという効果があるようじゃしのう。プロ根性を見せられた気がしたのう。花山大吉
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