波間に揺れる思惑台風の季節。
13の不吉なラベルをつけられた熱帯性低気圧は、
各地に冗談みたいな大雨を降らし、
麻生内閣の誕生を演出して、太平洋に消え去った。
台風が来ると喜ぶのはサーファーだ。
ビーチの熱気と人影が失せたアフターサマーは、
波乗りたちの刹那のヘブン。
死なない程度に楽しむといい。
台風が来ると喜ぶのはサーファー。
これは丘でも同じこと。
荒れ狂う数字の海原に挑むサーファー達が、
日々、歓喜と絶叫を繰り返し、
何人かは奇跡の大逆転ゴールを決め、
多くはマーケットの‘餌’になって、
60兆の経済の深海へ沈んでいく。
株価と金の流れを体内に叩き込んで、
数ヶ月に一度のビッグウェーブを見極める。
一度波を掴んだら、可能な限り波と一体化して、
心音と数字のリズム、二つのランダムウォークを
シンクロさせるのだ。
口で言うのは簡単だが、実際は見えない針に
透明の糸を通す作業だ。
「市場では誰もが平等」と一昔前は言われたが、
今はそうじゃないからね。
世界のマーケットはでたらめに巨大なひとつのパイに
統合し、個人投資家は情報を司る支配層とも戦わな
ければならない。
そいつらにひたすらついて行く戦術もあるが、
そんな連中をあざ笑うかのような偽情報が
飛び交っている中で、本当の波だけを捉えるには、
とびきり優れた目が必要だ。
予知能力でもない限り、数字のチャートを金に変
え続けるのは、ちょっと難しい。
適度に、確実に勝てる勝負だけ一枚噛む程度が、
おれみたいな三下には限界かな。
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