NO SIDE 第5話~そして1ヶ月が過ぎて~

その後もミウの事が気にならなかったと言えば
嘘になるかもしれない。
あんなに強引で我の強い女性は
初めてだったので、強烈に僕の印象には残った。
あの教室で講義がある日は
ミウが例の席に座っているかどうか
一応は確認していた。

だからといって、
それ以上の特別な感情が芽生えたわけではなかった。

大学生となった初めの1ヶ月は、
あっという間に終わった。
自分が思っていたよりも男の同級生が多かった。
もっと女性ばかりのキャンパスをイメージしていたので、
かなり意外ではあった。
そうは言っても数少ない男同士、
すぐに仲良くなった。
中でも猪俣という同じ科の奴とは、
お互いクラシックよりもロックが好きという
意見で意気投合して、色々な事が話せる仲になった。

「おい、三杉」
「…なに?猪俣」
「お前さ、ここら辺でいい喫茶店探してたじゃん」
「ああ」
「俺見つけたぜ。いい喫茶店。今日行ってみないか?」

僕は大学生になったら、
学校の近くでくつろげる喫茶店を探していた。
行きつけの喫茶店をつくることが
僕のささやかな一つの夢だった。
そんな話を最初の頃猪俣に話していたので、
見つけてくれたらしい。
その日の授業が終わると
僕は猪俣と一緒に、そのお勧めの喫茶店に向かった。
その店の場所は大学より池袋駅とは反対の方に
さらに緑の中を歩いていく中にあった。
この辺りでは珍しい、ロッジ風の外観のお店だった。

「…どうよ?いい感じでしょ」
「そうだな。お前にしてはセンス良さそうだな」
「なんだよそれ…。まあいいか、中入ろうぜ」

猪俣を先頭に店の中に入る。
中は外観に比べて狭く感じた。
でもその店内の雰囲気は悪くない感じだった。
本当はカウンターに座りたかったが、
最初からそこに座るのは抵抗があったので、
僕たちは入ってすぐの席に座った。
店内のBGMはジャズだった。
(…このピアノはオスカー・ピーターソンだな)
悪くない選曲だった。

「いらっしゃい」
この空間にピッタリの風貌の
マスターらしき人が水を運んできた。
その人は猪俣の方を見て
「この前も来てくれたね。ありがとう」と話しかけてきた。
「マスター、彼は三杉トキヤ。大学に入って初めて出来た友達」
と猪俣が僕のことを紹介した。
「三杉くんか。今日

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2006/09/29




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