50年間言えなかった

「寒いね~」今日はみなさん口を揃えてこうおっしゃいます。そういえば昨日は大寒。大分では一日中雨でしたが、山の方は雪になったかもしれません。こんな天気なので、話題はついつい寒い体験をした話になりました。

Sさんは子供時代を満州で過ごしたとのこと。「窓ガラスが二重になっていてね、その間にみかんやぜんざいを入れると、すぐに凍ってアイスができるのよ。おいしかったわ~!」 でもガラスに手が直接触れてしまうと、凍てついたガラスに皮膚が張り付いて、手の皮がボロボロになってしまうので気をつけなければいけなかったそうです。

そしてSさんは6年生の時に満州で終戦を迎えました。父・兄は出征していたのでお母さんと2人。収容所に入って、あるとき寝ていたら夜中に忍び込んだロシア兵から足を引っ張られて連れて行かれそうに・・・。お母さんがSさんの手を引っ張って止めて、でも動くと銃殺されかねないので周りもみんなじっとしている。思わず「観音様、助けて」と叫んでいたそうです。その願いが通じたのか、一緒にいた通訳の中国人が「これは子どもだ」と言ってくれたおかげでSさんの足をつかんでいた手がパッと離れて、危うく難を逃れたそうです。

「友達は一人もいなくなった、消息がわからなくなった。死んでしまったのか、残留孤児になったのか・・・今はやっと話せるようになったけど、こんな話、50年間言えなかった。思い出したくなくて心をオフにしていた。」

帰り際、「いろいろあったけど今は本当に幸せよ」とおっしゃったSさん。Sさんが今こうしてここで元気に暮らしていることが本当にありがたいと感じました。Sさんにとってつらくて思い出したくないことかもしれませんが、どうぞまた聞かせてください。私たちの世代に、そしてもっと若い人たちに、戦争の悲惨さ、残酷さを語り伝えてくださいね。

2008/01/22




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