ハナミズキ

幼い頃からキミだけを見て。
17年間キミだけ想って生きてきた。

―ハナミズキ―

「悠くん。おはよー。学校行こ?」

毎朝僕を笑顔で迎えに来てくれる小さな幼馴染。
頬にえくぼができる彼女、佐藤未月は今日もドアの前に一人立っていた。

「おはよ。未月。待たせてゴメンね」

微笑しながら軽く手を上げると、彼女は優しい目をして僕を受け入れ。
軽く肩にかかる薄茶色の髪の毛を僅かに揺らした。

大きくて色素の薄い瞳はとても儚く。
絹のような細い髪の毛は、生まれたばかりのように柔らかそうで、綺麗で。
真っ白で抜けるような肌。淡いピンクの唇。そして。

―――――僕の大好きな薄紅色の頬。

微かに蒸気させている未月の頬を眺めながら、僕は言う。

「…いつまでも俺と一緒に登校しててイイの?坂野は?」

すねてるように聞こえていないといいな。
…そう。ついこの間。
僕の大好きな未月は。

     僕の親友の彼女になった。

悔しくて涙が出た。切なくて胸が痛かった。苦しくて苦しくて死にそうだった。狂いきってしまいたかった。
僕は一人、毎晩自室で枕を濡らしていて。

でも。いつだって未月は。

「いいの。朝悠くんと一緒にいる時間、すっごく好きだから」


そう言って、穏やかに笑うんだ。


だから、僕はそんな素直で可愛い未月のために。


大好きで大好きで仕方ない未月のために。



彼女の、幸せを傍で見守ってゆくことにしたんだ。

「未月」

「ん?」

振り向く彼女。
真っ白な歯を見せて微笑み。僕はその顔を直視するだけで精一杯。

――――嗚呼。  胸が、鼓動する。
僕は彼女のこの表情が一番好きなんだ。愛しくて愛しくてたまらないんだ。


そう、感じすぎるほどに感じた。


「…俺さ、未月の事好きだから」

― 一瞬そう呟いただけなのに ―
未月の体が固まった。なんとなくだけど、彼女の顔から血の気が引いていくのがわかった。
途端に、震え出す彼女の唇。
見上げてくる瞳は、とてもおびえていて。

―――――こんな顔させるつもりじゃ、ないのにな。

僕は苦笑しながら言葉を繋げる。

「俺達、ずっとずっと、友達でいような

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短編 ハナミズキ
2006/12/30




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