命を捨てずに何が出来ますか。
近藤かおり
先日、ハンセン病療養所の長島愛生園に行く機会がありました。
そこで在園の方からお話をきいていたときのことです。
「命をかけてやらなければいけない」という言葉が何度も飛び出しました。
そして、「無から有が生まれるんだ」と。
私がふと思い出したのは、次の文でした。
四五人打ち寄りて談話してゐた時、先生も居られた。
一人云ふやう「命を捨てる気になれば、何でも出来る。」と。
先生云はく「命を捨てずに何が出来ますか。」と。
(「清澤満之全集」法蔵館 第8巻p.286 住田智見の回想)
また、確実なあてもないのに清澤満之記念館建立の募財に本格的に入った頃のことが思い出されました。
「命をかけなければ記念館はできない」と、暁烏敏師の門弟から心構えとして言われたのです。
「命をかける」「命を捨てる」という言葉は
「一生懸命にやる」という言葉の形容のようにも思えます。
何かを達成する為に、ある目的のために、身命をなげうつ。
それが一般的な姿でしょう。
でも、「この身はどうなっても構いません」というような態度がまずあって
それから何かを始めるのが念仏の教えだったのかもしれません。
私は何をはじめるにもつい保証が欲しくなってしまいます。
如何に安全か、安泰か、意義あるかと計算してからでないと、安心して物事に打ち込めないのです。
どこまで計算したら、どういう言葉がもらえれば、私は心から安心できるのでしょうか。
「命を捨てずに何が出来ますか。」と聞こえてきた日でした。
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