ベートーベンとの和解
ベートーベンの交響曲。子供の頃にさんざん聞いたので食傷していたんですが、数十年ぶりに最近また聞いてみてやっぱりいいなと。岩城さんが晩年、「メシアンなんかじゃなくてベートーベンを指揮していたい」とおっしゃっていた気持ちが少しわかるような。
ベートーベンねぇ。メロディーメーカーとしては最悪ですけどねぇ。
たしかにひどい。エロイカ(交響曲第3番変ホ長調)の第一楽章の第一主題なんてねぇ。(移動ドで)ドーミドーソドミソドーですよ。最終楽章にいたっては
ド、ソ、ソ、ドだもんねー。メロディーじゃないもん。チャイコフスキーやドボルザークだったらこんなテーマは絶対使わない。ブラームスですら使わない。
単なる分散和音だもんね。ハ短調のピアノ協奏曲のテーマもひどいよなぁ。ラッミラッミ、ラッとか。
和声的にも大して複雑なことはやってない。せいぜい減7の和音が出てくるくらい。
それでもすばらしい。モーツァルトの音楽が「喜び、楽しさ、美しさ」せいぜい「疾走する悲しみ」でできているとしたら、ベートーベンに至ってはじめて「ド
ラマ」が加わるんだな。壮大であったり悲愴であったり崇高であったり、逆に卑小であったり人間臭かったり。モーツァルトも晩年の、たとえば最後の二曲の交
響曲なんかは相当ドラマチックではあるけれどもね。
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