女装をやめる時(女装断絶の修業)①【あらすじ】男でありながら、「女装する」それは世間の中で明かすことのできない秘密です。女装クラブで軽い気持ちで女装した時、鏡の中の自分が美しい女性に変身していることに驚きながら、どこか心の奥底に感じる琴線を意識し始めるのです。とにかく女性の衣類を身にまとい女装を楽しむだけのつもりが、女装して抱かれ、女の姿のまま与えられる性の快楽を知ってしまった。身体まで女性化してしまいたいという自分の煩悩、情念と決別するために、一人の若者が郊外の「女装断絶の道場」に精神修業として入門することになった。
第1章 休職
3月31日の夕方、土曜日で普段なら休みのところ、年度末のため職場にはまだ数人仕事をしている社員がいた。私は部長からの指示で、引継ぎと残務整理のために出勤していた。休職の辞令を受け取るために部長から呼ばれた。
「明日から3ヶ月だね、君もいろいろあるけどまた元気に帰ってこいよ」
部長から励ましとも、あきらめとも言える言葉を最後に職場を退社した。大学を卒業後、企画部門で6年間世話になった部長には申し訳ないと思いながら、ついに本当のことが言えなかった。
通院先のクリニックで、うつ病と診断書を書いてもらった。私の会社では、年に数人がうつの状態になって、入院したり、自宅療養になる社員が出る。成果が上がらない、交渉が上手くいかないなど、営業だけでなく激しいノルマが与えられている研究開発部門にも多い。
私も表向きは、病気療養になるが自分の精神をゆさぶるあのことから逃げ出すために、密かに知られている「精神修養道場」に入ることにしたのです。
ほんの一月前の私の日常です。
仕事が終わると、会社から地下鉄で15分ほどの自宅に帰ります。バスタブにぬる目のお湯を張り、肩までしっかりとつかります。入浴剤は、ローズの香りのするショッキングピンクのような鮮やかな色です。頭皮から汗がうっすらと出始める頃に、シャンプー、コンディショナーで髪の毛を、次にボディシャンプーで身体の汗を洗い流し、男の匂いを消し去ります。
バスタオルを身体に巻きつけて、皮膚の手入れをします。お気に入りの乳液で汗腺の中の皮脂を除去して、特に顔、首筋の部分は念入りにします。ほとんど髭はありません、それでも指先で感じるほどのものも慎重に抜きます。
次に髪の毛を乾燥させます、ウイッグを被るので自
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