ウチ目均考(29)~モデレートな不安☆ IT(情報工学)革命とは何だったのだろうかと,改めて考えている。おぼろげながら思いつくことは,力の構造が変わってきたということだ。ここで言う「力」とは,権力とかそういった「社会的な力」の有りようと考えて良い。権力の根源は,何かしらの強制力の行使にあるのだが,バカなあたしなりに人類の歴史を振り返って感じるのは,権力は基本的に集中する性質を持っているということだ。これは動物の「なわばり」のような有限のもので,権力とは,その「なわばり」の中で強制力を行使できることやその「正当性」を指している。
☆ 次に権力を担保する要素を考えてみると,ひとつは正統性,これは王権や中国の「易姓革命」を考えてみると理解できる。次は権威。これはアニミズム以降の全段階において,宗教とその聖職者が自明のものとして獲得してきたものだ。だから非宗教的(世俗)の環境で,これに似たような権力の行使(多くの場合「権力闘争」となる)が行われると「伏魔殿」などと書かれて攻撃の対象となる。権威主義はあらゆる怠惰の原因であり,モラル・ハザードの起点にある。なぜならユーリッヒ・フロムが指摘したように,権威(主義)は,その客体から自立(自律)を奪い,帰属(帰依)によって「支配」する方策であるからだ。
☆ このような権力の性格は,最初に述べた強制力の担保と権威主義に代表される「情報の独占(寡占)」を,その基盤とする。ITが破壊するものは専ら後者であるが,それを逆手に取れば,権力・権威を強化する手段(ツール)としてITほど有効に働くものはない。このことは中国におけるグーグルの活動(より正確には「グーグルにおける中国政府の活動」)を見れば明快であろう。
☆ ITの特性を考える。基本的には処理速度の向上であり,WWWに代表される情報のフラット化ということにある。言い換えるとこれは「力」が「速度」と出会ったことになる。世界のある場所で起こった事柄が伝達する速度が増せば,その影響は広くなる一方,「効率的市場仮説」でいうように,その影響は薄まる可能性がある。つまり「どこのどいつがしでかしたことか分からない」ことが世界中に影響を与えるおそれと,それがその情報の拡散の速さに反比例して,影響力を失うこととの両立である。各国市場における「モデレート」という状態の本質は,たぶんこのあたりにあるのだろう。
☆ 最近の日経で興味深いのは,こうしたヴァーチャルな世界と現実世界との関わりに焦点を当てた特集を組んでいることだ。今朝見た日経の記事「ネットと文明 第10部 主従逆転4」(日本経済新聞 第43557号 2007年4月18日 第1面)でもそういうことを指摘していた。特に興味を引いたのは,ヴァーチャル・リアルティ(仮想現実)が現実を決定するという指摘だ。勿論
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