ウチ目均考(25)~市場規律

☆ 日興コーディアルグループの不正会計問題について考える時,公共財としての株式市場では,いったい何が守られるべきかという問題にまとまっていくように感じる。話の実態は,確かに「グレーゾーンを用いた出鱈目な会計処理」がまかり通っていたということであろう。これに対して一罰百戒的に断固たる処置をすべきだという声は,特に若い個人投資家層に多い。これに対して,一罰百戒が横行することへの懸念を唱える向きもいる。確かに今年の株式市場に暗い影を落としたのは,ライブドア事件の強制捜査から村上世彰の逮捕に至る「国策捜査」と呼べなくもない検察庁の強い姿勢にあった。特にライブドア事件の裁判過程をワイドショー的視点を一切拭い去って追いかけてみると,検察の法理に当初の勢いが無くなっていることが分かる。グレーゾーンを法がどう裁くべきなのか,これが来年早々に行われるであろうこの裁判の一審判決によって垣間見ることができるだろう。

☆ しかし,証券取引法を構成する要件の問題とは別に,資本主義国家にとって非常に重要な公共財である株式市場においては,いったい何が守られるべきなのかという問題がある。これは法規範というより社会規範の問題であるが,一般の市場参加者にとってはより重要・切実な問題だと思う。あたしの考えでは,株式市場において守られるべきものは,ひとことで言えば「その市場に対する信頼(信用)」であるだろう。それはあらゆる市場参加者(狭義の参加者である投資家のみならず,広義の参加者である発行会社(=上場企業),証券会社,取引所,監督官庁など株式市場における全てのステークホルダーを指す)の市場(資本市場,発行市場,流通市場)に対する「信頼(信用)」ということに他ならない。

☆ 日興コーディアルグループの不正会計問題をこの点で検証する。

(不正会計の内容)

・ 日興コーディアルグループの子会社が,特別目的会社(SPC)との取引に使った債券の発行日を偽装した。
・ さらに,取締役会議事録も改ざんした。
・ その結果,日興コーディアルグループの2005年3月期連結決算の利益が水増しされた。

(当初の指摘~日本経済新聞2006年12月16日号一面)

・ 2004年8月に日興コーディアルグループの子会社とその子会社(孫会社)との間でデリバティブ取引を行い,その結果,子会社は利益計上し,孫会社は同額の損失を計上した。しかし,日興は子会社のみを連結対象として,孫会社は連結対象外とした。これによって,日興は2005年3月期の連結経常利益の22%に当たる額をかさ上げした。

・ さらに日興は,この2005年3月期の財務諸表を開示資料として,05年11月に5百億円の社債を発行

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経済・政治・国際
2006/12/26




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