ウチ目均考(21) 証券優遇税制撤廃反対論を読む日本経済新聞第43405号(2006年11月14日 夕刊)第7(マーケット総合2)面
十字路「層の厚い資本市場構築こそが課題」(吉田経済産業ラボ代表 吉田 春樹氏)
☆ 筆者は結論を先に書き,その理由を詳述している。あたしもその論旨に賛同するのだが,引用しながら読んでみたい。
> 個人投資家に対する証券優遇税制の撤廃は時期尚早だ。
> 日本はバブル崩壊後,構造改革に取り組んで来た。それは明治維新,アジア太平洋戦争の敗戦時と同様,国の在り方を革命的に組み替えようとするものである。
☆ 議論の前提となる認識。バブル崩壊は確かに日本一国のことであったが,その背景には冷戦構造の終結による国際秩序の再構築があった。いわゆる「ハゲタカ論者」の言を借りるまでもなく,米ソ二大陣営の対立という冷戦構造が崩壊したきっかけは国際経済の資本主義的加速にある。これは労働力が産み出す剰余価値から情報や技術力が産み出す付加価値への価値前提の大転換がベースであり,19世紀的資本観から逃れられないマルクス主義が教条化すれば自壊は必然のものであった。
☆ だからといって,マルキシズム的価値観に変わったものはイデオロギーではなく市場経済という実際的なものであるから,その市場のルールを確立することはすなわち市場における主導権(ヘゲモニー)の争奪戦となることは,これも必然である。バブル崩壊とは,まさにそういう名前の本があったように「経済敗戦」であり,1980年代当初に輝いた「No.1としての日本」は,それを支えていた冷戦構造もろとも自壊してしまったのである。だから小泉であろうが誰であろうが「国の在り方を革命的に組み替え」ない限り,日は沈み続けるのもまた必定だった。
> 政治の分野では小選挙区制が導入され,派閥政治が形骸化しつつある。地方分権に着手し,憲法改正も議論しようというところまで来た。経済の分野では新会社法が制定され,銀行を含めて旧財閥を超えた再編成が活発だ。企業経営の改革が進行中である。
> しかし,これらは目標に対していずれも道半ばだ。
> 焦点を資本主義の視点からの企業経営に絞ろう。改革の大きな流れは間接金融から直接金融への移行にある。なぜか。それは企業の自主性と機動性を確立し,上場企業にあっては,株主重視の経営を実現するためである。
> それゆえに,バブル崩壊不況のなかで,銀行の持ち株制限が強化された。銀行経営健全化とともに,銀行,企業などの持ち合い株式解消が不可欠であったからである。
☆ ここでの議論のポイントは,先ほど述べたポスト冷戦下の国際社会が市場経済をキーワードに再構成されてきたことと対応している。市場経済モデルの中で最も優越し
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