vol.16 『メビウスの輪』深作健次 第4話自分の選択が本当に正しかったのかなんて、それは誰にも分からない事だ。
巨万の富を築いた成功者ですら、自分のやってきた事が本当に正しいのかどうかは分からない。使い切れない程の金を手に入れたところで、果たして自分の人生は正解なのか?果たして本当に幸福なのか?
ある研究によると、「もっともっと」と求め続ける人間は、例えその欲が満たされても、またすぐ次の欲求が出てくるという。
僕は、精神科医の傍ら「幸福」というものについて研究するようになった。
それは自分の幸福を求めるように、家族の幸福を求めるように…
そして、ある一つの結論に至った
人間は、将来の幸せを予想すことが得意ではなく、欲しいものを手に入れた後の幸せを常に過大評価しているということ。
幸せを感じられるのは、「今」でしかないということ。
僕は、常に先の事ばかり考えていた。
こうしたら、もっと家族が幸せになるんじゃないか?
こうしたら、あの時の過ちを取り戻せるのじゃないかと。
愛され体質が奪われたあの日、もっと父の前で大声を出して泣きじゃくって甘えていれば、父はその後も愛情を掛けてくれていたのではないか?そんな事をずっと考えたいた。
百合が夜遊びして帰って来た日、玄関先で怒鳴る父の声が聞こえた
その後、危険を知らせる祐三の「コーネリアス!」という合図が聞こえた。
僕は、咄嗟に買いだめしてあったドンキの安コーラを祐三に渡した。
これを、家族皆で飲めば、シュワッとした安い炭酸の心地よさと共に、色んな家族の蟠りも弾けるのではないかと。淡い期待を寄せたが、上手くはいかなかった。
僕は「おい。健次も出てきて皆で安コーラを飲まないか?」と、父から呼び出されるのを大いに期待しつつ、部屋でコーラを持って待機していたのだが、祐三は百合にしかコーラを渡さず、残りの2
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