古書街のまぼろし前回までは音楽、とりわけへヴィメタル&ハードロックというコアなジャンルを扱いながら、サブカルチャーの関係性を考えてみました。
今回からは宣言どおり、漫画について語ってみようと思います。
何を隠そう、私はかつて少年漫画雑誌に投稿していた漫画人であった。
といっても結果は出せずに終わってしまったのだが・・・
かれこれ16年ほど前になろうか。
高校時代は漫画家目指してはるばる某出版社に足しげく通ったものだ。
その出版社は神保町にあり、ここもまた秋葉原と同じく独特の町並みを形成している。
その要は古本屋街であろう。
出版社の帰りには当てもなくふらふらと彷徨っていたのを覚えている。
この街は秋葉原よりは変化の少ない地域であると思う。
電気街の変貌と古本屋街のそれとは性格を異にするのは当然である。
私の回顧録に何の意味があるのか、
そう、そんな彷徨中、見つけたビルの古本屋は“懐かしの”漫画がずらりとならんだお店であったのだ。
古書街は学術書や専門書が多く、漫画は意外と少ない。
そんな中で見つけたレトロ感満載のお店は後で知ったが結構有名なところであったらしい。
漫画を描くのに過去の作品などを探していた私は懐かしさ、というよりもお宝を見つけた喜び感や、その独特の空間が楽しくて仕方がなかった。時代が一気に遡ったあの感じ。『3丁目の夕日』を見て経験したわけではないのに感じるあの、ノスタルジーが再帰的であろうが、心地よかったのである。
何事も黎明期は気高く、荒削りだが生気に溢れている。そして発展期は優雅で解放的だ。
漫画は今、どの空間を彷徨っているのだろう?
もはや漫画が漫画のみで語られることの少なくなった昨今、その問いは意味を成さないかもしれない。
そしてネットで簡単に幻の本が見つかるのはなんだか、とても虚しさを覚えてしまう。
利便性は確かに人を豊かにもするが、その副作用は目に見えないだけに深刻だ。
そんな現代にも通じるテーマを描いた漫画家、誰もが知っている
手塚治虫氏だ。
私は彼の後期の作品が好きだ。
一般的に知られているアトムとかではなく、ビックコミックなどで連載していた作品だ。
描写も劇画的になり、テーマはよりリアルに描いていた時代だ。
代表作は、「アドルフに告ぐ」「陽だまりの樹」「きりひと讃歌」「ばるぼら」「シュマリ」「奇子」などだ。
医者としての知識はブラックジャックなどでもお馴染みだが、それが青年誌向けに、社会性を直接的に描く作品は確実に少年誌と
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