タイムカプセル - 20剛がなにやらごそごそし始めたかと思うと、バッグの中から何かを取り出した。
そして私に、
「亜美さん、これ。明日の誕生日に渡すつもりだったけど、明日じゃ間に合わないかも知れないから、今日受け取ってほしい。」
と言って、白い小さな紙袋を差し出した。
「誕生日のプレゼントだったら、明日でいいわよ。」
と私は言ったが、
「いいから、早い方がいいから。今、受け取ってほしいんだ。」
と彼が言った。
「どうして?」
「いいから、開けてみて。」
紙袋の中には、白いラッピングペーパーで綺麗に包装された、白いリボンのかかった小箱が入っていた。箱を取り出して、言われるがままにリボンを解いた。中の白い箱を開けると、その中にまた白いビロード地の小箱が入っていた。この小箱を手に取って蓋を開ける。中には、立て爪のダイヤのリングが入っていた。
「こ、これ・・・。」
剛の顔を見る。
開けている途中で、まさかとは思っていたけれど、本当にそのまさかだった。
「俺、まじで亜美さんと結婚を前提にしたいと思ってる。だから、これ、受け取ってほしいんだ。」
「剛君・・・。」
ダイアのリングと剛の顔を交互に見た。
「一応、宝石鑑定書もあるんだよ。安物のおもちゃじゃないからね。ほら。」
そう言って、鑑定書を見せてくれた。
プラティナの土台に1.5カラットのダイアモンド。隆一がくれたあの安物のリングのことを知っているから、そんなんじゃないってことを剛は言いたかったのだろう。
びっくりしていた。
付き合い始めてまだ2か月だ。それに、その内遠距離が殆どだった。会えない分、剛への気持ちが日に日に募って、もう彼なしには考えられないようにもなっていた。しかし、まさか今回、こんなことは期待していなかった。久しぶりに会えるだけで、それだけで幸せだと思っていた。
「すぐじゃなくてもいいよ。来年でも再来年でも亜美さんが好きな時まで待つから、いつか俺と結婚してほしい。」
感激だった。
プロポーズされたのは生まれて初めてだった。
「剛君・・・。」
涙がぼろぼろとこぼれた。
「これ、受け取ってくれるよね。」
彼がリングを取り出した。朝の光にダイヤがキラキラと輝いていた。
「うん。」
そう返事すると、彼が私の左手の薬指にリングを付けてくれた。少し大きかったけれど、幸せだと思った。
「これで、亜美さんは俺のものだー。」
彼はそういうと私を抱きしめた。
感激のあまり、私は彼の胸で子どもみたいに号泣した。自分がまだパジャマのままだと言うことに、今さらながら気が付いた。
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