今日は畑違いの経済の本の紹介です。「国富論」の著者アダム・スミ
スはで、一般的には自由放任主義で有名ですが、もうひとつの代表作「道徳感情論」はあまり知られていません。この2作を論じて、昨年暮れにサントリー学芸
賞を受賞した大阪大学の堂目卓生教授の「アダム・スミス」(中公新書)がよく読まれているようです。暴走する消費資本主義を原点から見つめなおし、経済に
とっての倫理観や正義感を再認識した内容で感銘しました。

「道徳感情論」でスミスは、社会秩序を導く人間性を解明し、「国富論」では最下層の人々の幸福を念頭に置いた経済理論を展開します。一部しか紹介できませんが、同書には目を洗われるようなフレーズがいくつも出てきます。
「市場は富を媒介にして、見知らぬ者どうしが世話を交換する場」であり、「富は市場によって国内の人間をつなぎ、成長によって富んだ人と貧しい人をつな
ぎ」「(自由で公正な市場経済は)その社会がどの程度、道徳的に成熟した社会であるか、にかかっている」…「人間の中に<賢明さ>と<
弱さ>の両方があり」「経済を発展させるのは<弱さ>であり」「そのような欺瞞が経済を発展させ、社会を文明化する原動力になる」のだ
が、「その<弱さ>が社会的役割を果たすためには、<賢明さ>(社会秩序)からの制御を受けなくてはならない」…。まぁ、これが
経済学の祖の思想だったのか、と意外ですらありました。
その根幹にあるのが