ここ数年、世界の学力調査でトップに君臨するフィンランドが、教育面
でも社会面でも注目を集めています。生徒の国際学力調査(PISA)1位、国際競争力ランキング3年連続1位と群を抜いています。人口600万人にも満た
ない北欧の小国が、なぜそのように優秀な成績を挙げるのか、日本の書店にはその教育の極意を探ろうとするいろいろな本も並んでいますが、所詮つまみ食いで
はその真価は学びようもありません。私は、フィンランドの教育や福祉の根底に横たわる、人間同士の厚い信頼関係づくりにとても注目しています。
大
学生の比較アンケートで「この社会では気をつけないと誰かに利用されてしまう」かという質問に、日本人学生の8割がそうだと答えるのに対し、北欧の学生は
25%に過ぎないそうです。北欧は高額の福祉でも知られていますが、その原理は「負担」なのではなく、人間の「務め」として福祉を受け入れているところに
あります。誰もが幼い時代を経て、保育や教育を享受し、やがて高齢者となって、介護や医療を必要とする。その基調には、人間は誰もが「弱者」であり、互い
の「弱さ」に対する尊厳の価値観が横たわっています。その原理が、学校だけではなく、地域社会や企業にも浸透しているところが、現在のフィンランドの国力
を支える基盤となっているのでしょう。
生き馬の目を抜くような日本社会では、人をうかうか信じれば、あっさり裏切られることが多いのかもしれません。最近の企業や学校の不祥事を見ていても、あまり信頼できる社会とは言いがたい、と思うのは私だけでしょうか。