オーブ光の天使 第28話
第28話
司は何か得体の知れないモヤモヤを吹っ切ることができずにいたが、目が回るほど仕事が忙しくなかなかじっくりと考えを巡らすこともできないでいた。
記憶の奥深くに仕舞い込まれて鍵がかけられたあの日以降の出来事は容易なことでは解放することはないようである。
「牧野の身体を力ずくで奪ったって
この俺がか?・・・まさか
・・・あり得ねえ」
同道めぐりの思案はいつも仕事の話でかき消されてしまうのだった。
楓の病状も好転せずすっかり会社の顔となってあれこれと走り回る毎日は司にとっては苦痛以外の何物でもないのだが、今はそんなことを言ってられない状況であり、ここを通り過ぎるまでの辛抱と考え仕事に励むのだった。
*****
衝撃の事実を類の温かい優しさというオブラートに包まれて受け止めたつくしは、幸せに暮らしているように見えた。しかし、心の中にある暗い部分は拡大することはあっても縮小することはなかった。
ただ、類の思いやりとお腹の子のおかげでなんとか今自分が幸せであると実感できることの方がそれを上回り、表面上は幸福感に満たされたような笑顔でいられるだけなのである。
「つくし、もうすぐクリスマスだね」
「そうだね、その後すぐに・・・」
「分かってるよ
つくしの誕生日でしょう」
「今年のプレゼントは
2人分でお願いします」
「・・・えっ?・・・そうきたか」
「アハハハ・・・、冗談だから」
「でも生まれてくる子供は俺らにとって
大事な大切な宝物でもあるんだから
そして産んでくれるのはつくしだから
俺が何かしてあげるのは吝かでないし」
「ありがとう
でも類のその気持ちだけでいいよ」
つくしは嬉しかった。類は何も変わらないいつもの類だし、零れんばかりの愛情を降りそそいでくれている、今は2人に。
「だいぶ大きくなってきたね」
つくしの後ろから回してお腹の上に来た時、手の平に動く感触があった。その瞬間、類の手が離れ2人は顔を見合わせた。
「赤ちゃんも嬉しそうだね」
「嫉妬したのかもよ」
「じゃあ、類が望む、男の子かもね」
*****
1月
新しい年が明けて清々しい空気を肌に感じながら2人は初詣に来ていた。
類はつくしの身体を気遣いながらも、父親
(1/5) 次»
コメント(0)|コメントを書く
カテゴリー一覧
最近のコメント
このブログを友達に教える