オーブ光の天使 第26話
第26話
英徳大学付属病院の特別室のベッドで楓は眠っていた。
自宅で倒れてここに担ぎ込まれた楓は処置を受けてからまだ一度も目を覚ましてはいない。タマはそんな楓が心配で付き添いとして泊まり込んでいた。
「タマ、何か変わったことはなかったか?」
もう少しで日付が替わろうかという時間に司は現れた。
以前の司は楓と顔を合わす度に表情が険しくなりいつも喧嘩越しになっていたが、今は親を心配する気遣いが窺われる。
どんなに嫌う親でも病床に臥せるその姿に少なからず胸は痛む。元気なときには微塵にも思わなかった親と子の絆とは、このような事態になって初めて気づくもの。
普段元気な姿でいるからこそ素直に互いを思う気持ちは心の奥底に封じ込められ、不器用にいがみ合い悪態をつくのだ。
「何も・・・
一体いつになったら目を覚ますものやら」
「ただの過労で
こんなにも眠り続けるなんて
聞いたことねぇぞ」
「坊ちゃんだって
会社の手伝いをしてみて分かるでしょうに
どれだけ体と心に
負担をかける仕事をこなしているか」
「・・・確かに・・・、でもよ・・・」
司は西田と共に慣れない会社運営の手伝いへと駆り出され、馬車馬のように働かされていた。毎日くたくたになってベッドに転がり、目を閉じて数秒で眠りについてしまうほど心身の疲労は激しかった。
「何か変化があったら連絡しますから
坊ちゃんは帰って
おやすみになってくださいまし」
「・・・ああ、そうするよ
タマもいい年なんだからほどほどにしろよ」
「坊ちゃん、いい年は一言多いですぞ」
「うっ!・・・じゃあ、タマあとは頼んだぞ」
楓の病名を知っている者はタマを含め身近なごく僅かの人間だけで、世間的には闇に封じ込まれていた。この事がもし世間に知れたとき道明寺グループは勿論、関連する企業や財界に与える影響は計り知れない。
*****
「類、あたし・・・
もしかして、・・・妊娠してる?」
「ぷっ!なに、今気がついたの?
俺はとっくに気づいてたよ」
「知ってたのになんで教えてくれなかったのよ」
「だって、俺の体じゃないし
それに病院で診てもらった訳でもないし・・・
でも、俺には分かってた
だって俺たちの子供だから」
「あたしったら・・・、恥ずかし
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