オーブ光の天使 第22話
第22話
8月 日本 道明寺邸
司は疲れきった体を解放するかのようにソファに身を投げた。
メープルの代表者とするべく楓の帝王学伝授が始まって2ヶ月が過ぎていた。急遽、帰国した司には殺人的な教育スケジュールが組まれ、人間らしい生活は何一つ許されない。メープルの代表である楓の身に万が一何かがあっても、事業に支障をきたすようなことがあってはならないという宿命を彼は背負っていた。
「坊ちゃん、お飲み物は何がよろしいですかね?」
「コーヒーでいい」
司はネクタイを緩めながら深い溜息を吐く。
「お疲れの様子ですね
今日はタマ特製のハーブティーでも飲んで
ゆっくりとお休みなさって下さいまし」
「用意できてんなら最初から聞くなよ
・・・ったく、飲み物まで強制かよ」
「苛々してますと早死にしますよ
相当ストレスが溜まってることで
これも奥様の愛情だと思って観念・・・
快く受け止めることですな」
「ババァの愛情だと?冗談じゃねえ
人を人とも思わねえ奴に愛情なんてあんのかよ
てめえの都合で振り回しやがって」
「奥様が築き上げてきたものを
坊ちゃんに譲るってんですから
多少の我慢は仕方がないこと
すべては坊ちゃんのためですよ」
帝王学伝授のスケジュールは予定より大幅に遅れていて、そのため仕事や勉強などに皺寄せが生じ、司の一日のほとんどはホテルで過ごさざるを得なかった。勿論、あきらや総二郎と会う時間も取れないし、また取ろうとも思わない彼だった。
*****
深夜3時過ぎ、就寝中の総二郎の携帯電話が鳴る。それから数分遅れてあきらの携帯電話も鳴った。
電話口の声は聞き覚えのある冷静な口調ながらも少し震えているようで、寝ぼけた脳に緊迫感を与え、話の内容は脳と体を完全に目覚めさせ言い知れぬ不安を与えた。
「なんで病院の廊下ってこうもなげえんだよ」
病院の静寂な廊下に総二郎の足音が響き、焦りの愚痴がこぼれる。
廊下を曲がると手術室の前にタマと峰岸(司の秘書)が立っていた。
「つ、司は?」
総二郎は息を荒げてタマに訊ねた。
「まだなんとも」
タマは平静を装っているかのような態度を取ってはいたものの、その目はやや赤く落ち窪んでいた。タマの心の痛みが周りの空気を震わせてこちらにも伝わってくる。
総二郎の
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