Mermaid in blue dress 2カーステレオは自然治癒しました。おかげで「聖子ちゃん通勤」復活。白黒の風景がカラーになった気分です。
妄想の続きです。
*****************************
「あたし、吉野家の牛丼食べたい。」
缶詰め生活が三日もすると、ホテル内の高級レストランの飯も一通り食っちまって、そういうことになる。おれも食いたいよ、吉牛。
「愛人って退屈なのね。想像してたのと違うわ。」
どんな想像だよ。
「本妻の人が乗り込んできて修羅場になったりとか。」
残念ながらおれには本妻自体いない。
それはいいが結局原稿には追われてるし池辺の目が光ってるおかげで、愛人らしいこともまったく出来ない。
「退屈だったら本でも読んでろよ。」
おれは資料として持ち込んだ本をみちるに手渡した。
吉川英治「新・平家物語」、宮尾登美子「義経」、半村良「戦国自衛隊」、森村誠一「野生の証明」・・・
「ねえ、小説って人の本見ながら書くの?なんだかカンニングみたい。」
「これは資料だよ、資料。あと、前に出てる本とカブらないようにチェックしてるんだよ。」
どうだか。何しろ正直は北アフリカの砂漠に置いて来た男だ。
「本はいいわ。プール行ってきていい?」
「あ、いいね。おれも行く。」
池辺が嫌な顔をしたのがわかった。何しろ原稿はあんまり進んでない。
「まあ、気分転換もしないとさ。」
「先生はせめて今の章を書き終わってからにしてください。」
しょうがねえな。え〜と、「熊谷は背後の危険を一瞬早く察知した・・・」
おれも水着に着替えてホテルのプールに行った。
人気のないプールサイドに並ぶデッキチェアの一つに、ミントブルーの水着を着たみちるが横たわっていた。目を閉じてまどろんでいるようだった。髪を短くしたおかげで白いうなじがよく見えた。人魚というのが本当にいるとしたらこんな姿をしてるのかもしれない。青い人魚。
じっと眺めているおれの視線に気づいたのか、みちるが目を開けた。
「ケンちゃん、意外とお腹出てないのね。」
ああ、これでも元外人傭兵部隊だからな。身体にはそれなりに気をつかってる。
「あたしの水着ずっと見てたでしょ。いやらしいんだ。」
「うるさいな。愛人だったら裸見たって文句は言われないはずだろ。」
おれはみちるの華奢な体を抱き上げると、そのままプールにジャンプした。
「きゃあ、やめて〜」
水しぶきが派手に上がり、小さな虹が見えた。
***************************
(1/3) 次»
コメント(4)|コメントを書く
カテゴリー一覧
最近のコメント
このブログを友達に教える