◎もうひとつの砂子屋書房。[弧琉球叢書]などの南島本。 砂子屋書房の南島書々、総頁数3768pは実際も内容も大変に重い。『宮古のフォークロア』N・ネフスキー著、『南島祭祀歌謡の研究』波照間永吉著、『沖縄久高島のイザイホー』湧上元雄他著、『南島歌謡論』玉城政実著、『沖縄芸能史概論』『沖縄の祭祀と民俗芸能の研究』大城學著、『ムイアニ由来記』『南島小景』崎山多美著、等々。四六判カバー裝からA5判、菊判函入りまで仕様はいろいろだが、いずれも編集者田村雅之さんの胆いりの本たち。
『南島祭祀歌謡の研究』は著者十数年の調査研究、1128頁に及ぶ歌謡論の大集成。発端は赤坂憲雄さん、田場由美雄さん、田村雅之さんの三人が八重山の島々の夏の祭を調査にやって来たこと。そこでの約束だったらしい。あとがきで波照間さんは「大部な原稿を持ち込まれて田村さんは困惑なさったに違いない」と述懐されている。田村さんという人はぼくの知る限り「短気人?」の典型だが、この原稿待ちに関しては「長気人?」といえる。この本の校正のやりとりも相当スローで変則的だったらしい。書き手も受け取り手も、気長さが産み出した大書といえる。そもそも田村さんは赤坂憲雄さん『異人論序説』や梶木剛さんの『折口信夫の世界』など文化史研究、民俗学研究書の発行に積極的であった。以前から南島を訪れては自ら祭祀研究にも何度も参加されていたようだ。「ようだ」というのはいつ、誰と同行したかが分らないからで、たとえば吉本隆明さんや赤坂憲雄さんなど数人の人しかぼくには思い浮かばない。とにかく造詣は深いものだろうと推察するが「南島」は詩人として、編集者として田村さんの心根にインスパイアするものがあったのだ。酒は避(!)けられぬものとしていつも文化の中心にあるとぼくは思う。ご当地の泡盛や焼酎の凄さを田村さんは人一倍知っているだろうし、大和人(やまとんちゅう)の欠落を彼の「南島」は注がれる泡盛のように満たしてくれるのかも知れない。
砂子屋書房の20周年記念パーティがお茶の水・山の上ホテルで開かれたとき沖縄からの来賓が謡曲と舞を披露された。ぼくは興味津々だったが宴もたけなわだったせいか場
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