◎ 『RADIO AM神戸69時間震災報道の記録』  2002年10月刊

 サブタイトルのように地震当初からのラジオ放送を時系列にそってそのまま活字化している。95年1月17日早朝の出来事。当時のぼくの住んでいた高槻市は京都と大阪の中間点にあった。とても激しい揺れだった。仕事場は七階の古いマンションだったから壁にひび割れができたり食器棚から食器が飛び落ちてみな割れた。本棚はほとんど倒れたしTVやワープロも床に落ちてオシャカになった。仕事場に入ったとき足の踏み場もない状態で、ここに居なくてよかった、これは大変な被害だと思った。
 神戸は「それどころじゃない」ことを後で知ったが最初まったく情報がなく「死者が何人かでたらしい」ぐらいの話だったのだ。結局死者6400人以上という大災害だったが現場ラジオで69時間も放送し続けていたことは全く知らなかった。「奇跡的に生きていたリクエスト用の専用電話を介して」被災した人たちの救援放送局としてAM神戸は機能した。あとがきに「あの混乱のなかでは「確認」作業が非常に難しかった」とあるようにあえて誤報のあったことも含めて再現している。一人のリスナーとの自然発生的な交信で始まるこの記録はあの地震のなにもかもを語っているようだ。アナザ−サイドということもあるが自然災害に遭遇したときの助け合う人々の肉声が聞こえるようだ。この本はただ貴重な記録というだけではなく放送局の人たち自身の救援活動も含めて結局は「人が生きる」ことのちからを示唆しているように思えてならない。ぼくはこの本の内容に関わったすべての人に心からの敬意を表したい。

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文化・芸術
2009/02/03




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