メイクの魔術

ブライダルカメラマンをしていると、新婦のスッピンを見ることがよくあります。
新婦がメイク中の撮影を希望されるからです。
ザックリですが3割位の確率で、メイク中の撮影をしてきたように思います。

メイクをする場所は、女性専用のメイクルームだったり、男性は新郎だけが入ることのできるブライズルームだったりします。
ですから、ブライダルカメラマンは、男であっても、そんな神聖な場所にどうどうと入ることができる特殊な職人でもあります。

新婦のメイクを担当するメイクさんは、ほとんどが女性でした。
式場とは関係のない外部の持込メイクさんに男性がいたことはありますが。
ですから、ブライダルメイクの世界は、圧倒的に女性社会であることが分かります。

メイク作業中、メイクさんは、真剣勝負をしているということが伝わってきます。
特に、披露宴の中座中のメイクは、制限時間内に仕上げなければなりませんからね。
失敗したからやり直す、なんてことはできないのです。

例えば、披露宴の中に40分の中座時間を取っていたとします。
新婦のトイレチャンスはあまりありませんから、その間に行く必要があります。
和装から洋装、または洋装から和装へのチェンジの場合、メイク以外にも相当な時間がかかります。
メイク自体も、根本的なチェンジとなりますから、スッピンにしてからのスタートです。

中座中に写真スタジオで撮影する場合は、さらにメイクに使える時間は制限されます。
中座後の披露宴は、新婦友人のスピーチや両親への手紙朗読などで、新婦はよく涙を流します。
それで、せっかくのメイクが崩れます。
だから、中座中に写真スタジオで撮影をしておいた方がいいわけです。

そのように、メイクさんは、時間との戦いをしているのです。
そんなメイクさんに、カメラマンは指図なんかできません。
「もうちょっと左によって作業をしてくれたら、うまく撮れるのになー」
「すこし、そこで手をとめてほしいなー」
などなど、いろいろと心の中で思うことはあります。
しかし、それは絶対に言ってはいけないことです。

ブライダルのスナップ撮影が、スタジオ撮影や広告撮影などと最も違うのはその点です。
あくまでも、進行をさまたげないで撮らなければならないのです。
たとえ背景に人が入ってしまっても、シャッターは切らなければなりません。

「背景に人が入ったから撮りませんでした。」
「だから、そのシーンをもう一度やってください。」
なんてことをお願いすることはできません。

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2008/10/28




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