読書録 東嶋和子「緩和医療の現場から がんとともに生きる」 '090712癌とは不思議な病気だ。体の様々な場所に癌が出来る。ヒトは自分や身近なヒトがその病気にならないとなかなか真剣には病気のことを考えないものだと思うが、こと癌に関して云えば、そろそろそんなことは云えなくなってきたようだ。日本人の死亡原因では三人に一人が癌で亡くなるらしい。そしてふたりに一人は癌に罹るそうだ。ヒトの一生と癌との結び付きはもう必然的で、ヒトは生まれ育つことと同じように癌になる・・・そんな風に考えてもいい時代になっているように思えてしまうのだ。
繰り返すが、本当に癌とは不思議な病気だ。インフルエンザや結核、HIVなどの性感染症のようにウイルスで感染する訳ではないし(※1.)、交通事故や火傷、殺人などの外部要因でもなく、全く自分の体の中の細胞の変化によって、自らの生命が脅かされる病気なのだ。
確かに予防が出来ないこともないらしい。皮膚癌は紫外線を浴びる量を減らすことで危険性を回避できるそうだし(※2.)、肺癌の患者は喫煙者に多いという。肝臓癌はやはり飲酒好きが多く罹る傾向にあるとのことだ。しかし、煙草を吸わないヒトだって肺癌になるし、皮膚癌になるヒトが他人より多く紫外線を浴びたかどうかは、統計的にははっきりしない。
はっきり云えることは、癌とは自分の細胞=自分を生かしている細胞がある日突然自分を殺す細胞に変わってしまう現象に起因する病なのだと云うことなのだ。これはいったいどういうことなのだろうか?
ボクが癌について興味を持ったのは、毎日新聞に連載されている東大の放射線科の医師・中川恵一氏の「Dr.中川のがんから死生をみつめる」を愛読しているからだ。これは毎日新聞で永年連載されてきた同氏の「がんを知る」シリーズで、単行本はベストセラーなのだと云う。過去の経営陣が失敗を繰り返してきた毎日新聞では、貴重な成果なのではないだろうか?余談だが、毎日新聞は新聞協会賞を他の新聞社より数多く受賞していることを売りのしていて、確かに調査報道では抜きん出た実力と思うが、こと科学や医療の分野の報道でももっと評価されるべきだと思っている。
さて、中川氏は連載の中でボクにこう教えてくれた。癌とは人間の中で日々繰り返されている細胞分裂の際の遺伝子のコピーミスから生じるものなのだ、と。ボクはそれを知らされて「え、そうなの?」と改めてびっくりしてしまった。そして氏はこうも云われた。自分以外の細菌やウイルスの侵入なら免疫機能が働き防御されることもあるが、自分の細胞の変化なので、癌細胞の増殖は抑えられない・・・そして「どうして癌の患者が増えたのか?」との
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