『早瀬未沙 白い追憶』・早瀬未沙 白い追憶
河森正治(構成)、大野木寛(文)、美樹本晴彦(絵)/著 アニメージュ文庫 1984年
ゼントラーディの攻撃によって焦土と化した地球。
アラスカの地下で早瀬未沙は、異星人への反撃を為して果てる父の最期を目にした。
ただ一人生き延び、涙に咽ぶ未沙の脳裏に浮かんだ彼女の過去。
青年ライバーとの初恋、失恋、士官候補生養成所の日々、ライバーと母の死、そしてマクロス乗艦。
それは常に戦争が暗い影を落としていた、早瀬未沙の哀しい物語だった。
小説でもアニメでも、TV版のマクロスは深刻な事態になろうとコミカルな雰囲気が漂っているように思いました。
マクロスを改修後初めて宙に浮かせれてみれば、途中で重力制御システムだけ艦体を突き破って飛んでいったのには、私も小説より先にアニメで観ていて衝撃を受けました。
そこを早瀬未沙が「拾ったものを使うからです」の一言で締めてしまうから、作品のタイトルにもなってる宇宙戦艦がまるで道端に落ちてたガラクタみたいに見えたりして。
それにリン・ミンメイが、作品の妙な明るさの象徴だったと思います。
しかし、この早瀬未沙が主役になった小説は、とことん暗い。
早瀬未沙の大切なものがただ失われていく物語と言えます。
彼女の明るさも、恋も、両親も、思い出の品も、大勢の地球人も、無くなってしまう。
その原因は地球人と異星人の戦争だけでなく、その前にあった地球人同士の統合戦争にあり、この物語では統合戦争の様子も垣間見え、マクロス前史のようでもありました。
とは言えバルキリーは名前すら出てこないで、マクロスもSDF-1と呼ばれていて、マクロスの小説という感じは薄く、何より本編と比べ物にならないほどシリアス。
ただただ、戦争小説という印象は強かったです。
途中で描かれる、地球の未沙と火星のライバーの文通は、後の悲劇がマクロス本編で語られているため、読んでいて溜息を吐いてしまいそうなりました。
こんな人生を経験していたら、そりゃあ暗くもなろうもの。
挿絵にある、少女時代の早瀬未沙の明るくやんちゃそうな姿が嘘みたい。
流石に『マクロス・ラブ・ストーリー』(徳木吉春/編 アニメージュ文庫 1983)の中の初期イラストで「痴話ゲンカをしている時がいちばん明るい」などとメモされていたのには、ちょっと可愛そうな気になりました。
ところで小説部分
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